落ちた先に待っている沼の底とは

とうとうやってしまった。
毎日言霊のようにやめようやめてしまうべきだと唱えてきたのもつかの間、真っ逆さまにわたしは落っこちた。
沼に。
伊野尾慧という沼に。

彼の名前を知ったのは半年前。
毎年恒例になりつつある嵐のワクワク学校に櫻井担の友人が当選。
彼女とは2グループに渡り(嵐、モーニング娘。'15)同じ担当被りであり、ほぼ同時期にそれぞれのグループにハマったこともありとても気が合う。
そんな彼女との初遠征、初現場!とても興奮していたがひとつ毎年のワクワク学校とは装いが違った。
それは同じ事務所の後輩グループHey! Say! JUMPが生徒として参加するというもの。
しかも9人。
山田くんと知念くんは分かる。後は分からなかった。
流石にそれはHey! Say! JUMPにも嵐にも失礼だと思い3日前から猛勉強。
出発前にMステに出演していた彼らを見ながら「彼がたかきくん、えっと隣が…えーーあーーー!待って動かないで!」と心の中で絶叫しながら復習をし、なんとか名前と顔が一致する程度に成長。ワクワク学校を楽しんだ。
わたしは元々ジャニーズがすきだったわけではなく、20代をすぎてからのジャニーズファンデビューなので特に認識のないグループのメンバー全員の名前と顔の一致はなかなかハードルが高かった。

その時のわたしの認識は「若い…」これに尽きると思う。
Mステで披露した曲は「キラキラ光れ」だったのだが、おじさん好きなわたしからすればもう半端なくキラキラしまくりで正直目が潰れるのではないかと言うくらいピチピチ。ちゃんと調べるまでみんな20歳くらい?と思っていた。
なにせ楽曲がめちゃくちゃかわいい。
かっこいい曲も深めていくとおお!と目に付き始めるのだがこの時点では極端にかわいいアイドルソングに強烈なインパクトがあり、「同い年くらいの男の人なのにかわいいを求められるのか…大変だなぁ…」とすら思っていた。

それもつかの間である。

帰宅後しばらくして嵐BLAST in Miyagiの当落発表に惨敗。
このところのぼり調子だったわたしの少ない運もあっさりここで途絶えたようで、わたしはお留守番組に。
あーーー行きたい。
そのままわたしの名義が息を吹き返すわけでもなく、とにかく寂しすぎて辛すぎてDVDさえ観ようという気にならない。
ああそんなに好きだったか……ふとそんなことを思った時。正直自分で自分に引いた。
あまりに固執しすぎな事実である。
チケットが取れた!復活当選した!ホテルどうしよう!の文字を見るだけで嫉妬という嫉妬がメキメキとチカラを付けわたしを支配し始めていた。これは完璧にスリーアウト。
なりたくないファンになっている、確実に。

そんな恐ろしい事実に直面し生活からそっと嵐を遠ざけこのままSNSにいることさえも辛くなっていたそんな時。

……そういえばHey! Say! JUMPって。

これが全てのはじまりだった。
名前が一致し、ワクワク学校で嵐にかわいがられている様子からもう既に気になる存在になっていたのだと思う。
まぁ本命は嵐だし。後輩グループのことを知ってるというのは次のワクワク学校を楽しむのにとても有利なのではないだろうか。
いやもはやこれさえも言い訳な気がしてきたが一応そう書いておこう。

初めにあっと思ったのは「いただきハイジャンプ」だ。
寝起きドッキリをきっかけに見事にハマってしまった。様々なロケをこなしたりこなせなかったりする様子を見漁りじわじわそれぞれのキャラを掴めたそのとき。
かわいい!おもしろい!なんだこの番組!
このくだらなさ宿題くん!!
でも嵐にはないまだ未発展な感じ…応援した……いやいや、わたしには嵐が!

しかしここでやはり本業であるほう、どんな曲を歌ってるのかどんなダンスを踊っているのかが気になり初めてしまい検索し始める。
あーこれはまずい。そう口では言いながらも、もう片足は落ちる準備をし始めた。
かわいいファンシーな曲からバンドからR&B、バキバキのダンスナンバーまで隊列の整った美しいダンスに個性できらめく歌声。
好きにならないほうがおかしい。

いやいや曲ならまだ大丈夫なはず!まだシングルしか分かってないし!ほらコンサートDVDにまで手を出し始めたら最悪の場合この沼に真っ逆さまだとは思うけどまだそこまでじゃないはず。
だめだめ、かわいい後輩グループで終わらせなくては。

そんなタイミングで長時間音楽番組に嵐とモーニング娘。'15と出演するということで録画。
楽曲は「Chau#」しかもあのCDジャケットで着ていた王子様衣装での登場だった。
え!なにこれめっちゃ…うわああああめっちゃかわいいいいい
パッと映った伊野尾くんのふわふわパーママッシュで踊ってる姿に完全に落ちた。
いやもうどういうことなの神様説明して。
確かに「かわいいな〜Hey! Say! JUMPなら伊野尾くんかな〜」と思ってたけど
「なら」じゃなくて「すき!!!!」ってなったこの感情は。
ポップでハッピーってなんなのこういうことなの。

もちろん嵐もとてもかわいかった。衣装も素敵だったし。

でもあの、あの伊野尾くん……伊野尾くん…

これは完全にやられた。

と気づくまで少しかかった。
なにせ嵐が好きなのであって、ジャニーズがすきということではなさそう。というのが自分なりの見解だったはずだ。
嵐以外のグループの曲もメンバーにも特に興味がなかったわけで、わたしはただの嵐ファンだ!ジャニーズファンではない!と言い聞かせてきたのだ。
しかし沼はずぶずぶとわたしを襲う。

伊野尾慧の魅力はかわいいだけじゃない、的なまとめだったと思う。
過去のインタビューからこういう人、こういう考え方を持ったアイドルであるということを古参のファンの方がまとめているサイトにたどり着いてしまったのだ。
取りあえずお気に入りに追加した。
読む?読まない?自問自答を数週間繰り返す往生際がとことん悪いわたし。
多分読んでしまったら好きになってしまう。
ファンになってしまう。
ああでも悩んでいるということはもう好きなのではないだろうか。

意を決して読んだ。

はい、すき。

へらへらテキトーキャラのイメージから仕事に真面目な秘密兵器、メンバー想いの恥ずかしがり屋、周りを受け入れる包容力、自由でありたい猫気質、甘い声と顔に似合わず性格の男っぽさ。

はい、すき。

もうすき。

こうなるとヲタクは止められない。
Hey! Say! JUMPが出るテレビを録画、曲の勉強、コンサートレポを収集をし始め、コンビやメンバーの関係性を調べあげる。
ものの見事にハマった。
しかし、ファンクラブに入るか入らまいか…
嵐のファンクラブにも所属しつつ他にもすきなアーティストを応援しているのでこれ以上ヲタク、働けるのか?
でも入らなければコンサートには行けないはず。でもなぁ…と言いつつ身体はずぶずぶ沼の中。
こうしてはっきりしないまま月日は流れ、ここでまたまた長時間音楽番組の登場だ。
嵐の宮城コンの中継も挟むということで録画しないわけにいかない。
その時わたしはと言うと、課題のコンセプトが決まらず、そして履歴書を書くために図書館にいた。Hey! Say! JUMPは昼頃に登場!とあったがそちらのほうと格闘しなくては…でもちょっと休憩がてらTwitter覗いて……

ああああああああやっぱりお前かーーーー
伊野尾くんんんん今日もふわふわパーマでなんてかわいいのーーーーー!!!!

釘をさされた。わたしはもう完璧に沼の底にたどり着いた。いやもうすでに着いていたのかもしれない。
よし、短期バイト決める。
そして就活も決める。
しっかり稼ぐ、しっかり貢ぐ。
完璧だ。フラフラしていたくせにこういうことで気合が入る単純さに呆れたけれど。
学校と就活でバタバタしており、結局カウコンの申し込みには間に合わなかったがファンクラブに加入。

なんか色んなものよさようなら…という虚無感を抱えつつわたしは今日も求人票と向き合っている。楽しく生きられるならもうそれでいい。
なによりHey! Say! JUMPを好きになってバランスよく嵐のことも応援できるようになった。
これに尽きるように思う。
本人達が可哀想というよりは自分が自分に疲れていたあの時間がふと居なくなったのだ。
今ではHey! Say! JUMPを応援し、嵐を愛でる。
どちらも全力で取り組んでいる。
そこからまたアイドル以外の自分がやりたいことや好きなものに割く時間もちゃんと持つようになった。
仕事もヲタクも夢もどれも叶えたい所存である。

前向きに全てゆっくりと。

これからもよろしくお願いします。